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STREET 3.0 TALK PROGRAMWHAT IS STREET?『道とは何か』レポート

更新日:2023年12月29日



石谷岳寛 + Chim↑Pom from Smappa!Group(以下Chim↑Pom)による「Artchive of Street」の会場で12月23日(土)に開かれたトークイベント「道とは何か」。Chim↑Pom のエリイ氏と卯城竜太氏、本展キュレーターの緑川雄太郎氏が、再定義された道「ストリート3.0」の可能性を探りました。その一部をお届けします。


2017年に高円寺・キタコレビルでの「道が拓ける」で「Chim↑Pom通り」を開設。「Asia Art Biennial 2017」において国立台湾美術館と公道を200mの道でつないだり、2022年に森美術館で開催されたChim↑Pomの回顧展「ハッピースプリング」でアスファルト舗装の「道」を敷いたり、プライベートとパブリックをクリティカルに考察しながら新しい空間を生み出してきたChim↑Pom。

エリイ氏は「産院を出た瞬間から当たり前のようにある『道』をどう見立てて、作品に落とし込んでいくか。そこに美術の真髄がある。美術館につくる道は概念の道。どんな道も思い通りにはならなかったり、道を育てるのが面白い」とコメント。卯城氏は「台湾美術館の中と外の公道をつないだ時、その道は美術館のシステムとは別のレイヤーにある謎の空間だった。何をして良くて何がいけないのか道の定義が曖昧になり、美術館と交渉しながらレギュレーションをつくっていく作品でした」と振り返ります。台湾美術館の「道」ではブロックパーティーも開かれ、台南の自然を破壊する再開発を止めたいという現地のコレクティブの希望で記者会見とデモが敢行されるなどさまざまな活動が生まれたそう。


「Chim↑Pomが道をつくる、その根底にあるものは?」との緑川氏の問いかけに、「すべては風の前の塵と同じと思う。それでもできることはある。可能性を探るアクションを起こし、新たな価値観を生み出したい」とエリイ氏。卯城氏は「例えば美術館につくった道に水の持ち込みはできませんが、人間は水で成り立っています。人間自体が境界線上にいる矛盾した存在です。道をつくるのは、個と公の曖昧な境界線を問い直すもの」と答えます。


緑川氏は気候変動など危機的な時代に道はどこにあるかを探るために今回の展覧会を企画したと言い、「道は3次元でなく、量子意識の世界にあるのではないか」と提案。これを受けて、卯城氏は「意識を活性化するには、想像力を働かせる前提となる謎や問いを与えないといけない。道をつくってもそれだけのこと。道のない場所に道ができることで謎や可能性が生まれ、それが人々に伝わり、意識が活性化する」とコメント。


最後にChim↑Pomにとって「道とは何か」。エリイ氏は「道は私のものであり、みんなのもの。すべての人に開かれているところが良い」。また卯城氏は「道は輪郭が曖昧でいい。御堂筋でもChim↑Pom通りでもつながっているから。道はつながっていて輪郭がない」と表現。ストリート3.0の模索は続きます。


船場エクセルビルでは、映像作家・石谷岳寛氏による森美術館でのChim↑Pomの「道」のドキュメンタリー映像をはじめ、高円寺・キタコレビル、国立台湾美術館でのプロジェクトを記録したアーカイブ映像を見ることができます。


『STREET 3.0:ストリートはどこにあるのか』


船場エクセルビル




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